北アイルランドの最南端、Kilkeelという海岸沿いの町で育ったRuach MusicのCEO、Stephenは音楽と木工に対する情熱を持った若者でした。16歳の時、彼は友達の家でカホンを初めてプレイし、自らカホンの製作を行うことを思い立ちます。なぜかというと、新しいものを購入する経済的余裕がなく、そしてなにより市販のカホンよりもさらに良いものを生み出したいという思いがあったためです。

そうして完成した初めてのカホンはガレージの廃材を集めたような見た目でしたが、音は素晴らしいものでした。学業にも励みながら製作を続けた結果、彼のカホンはいつからかイギリス中のパーカッショニストの知るところとなり、そしてついには学校の授業中にまで彼らの要望を盛り込んだカスタムカホンの製作依頼がいくつも届くようになりました。また、彼らの要望のほとんどはカホンに内蔵されたキックペダルの増設でした。

当初、Stephenは内蔵キックペダルは現実的ではなく、またほかの製作者が製作していないのには何か理由があると考えました。しかし好奇心に背中を押された彼はいくつものスケッチを描き、試作品を作りながら内蔵キックペダルで最高のサウンドを鳴らす方法を模索しました。幾日も放課後の時間を製作に費やした後、遂にキックペダルを内蔵したカホン’MK3’を完成させました。この経験はStephenの音楽とビジネスへの情熱をさらに搔き立てることになります。

同時に彼はすぐにこの趣味がビジネスになる可能性を秘めていることに気が付きました。そして2013年の夏、Aレベル(イギリスの大学進学に必要な一般教養課程)を修了した後、ベルファストのMatchetts Musicと初めての小売契約を交わし、夢の実現へと向かっていきました。

2015年までにRuach Musicのカタログはカホンからエフェクターとアクセサリーにまで拡大し、取扱店を着実に増やしたのち、2015年夏、世界的にも有名なKORG UKと流通契約を結びます。その結果、業界での地位を固め、ブランドの認知度は著しく向上しました。

2011年の開業当初の精神を忘れることなくRuach Musicは市場の声に耳を傾け、プレーヤーの要望に応えながら現在ではエレキギター、ベース、木製ペダルボード、エフェクター、カホンなどをラインナップしています。

チームを拡大し設備やサプライチェーンを充実させながら彼らは成長してきました。音楽業界をイノベートするプランを持ちながら、Ruach Musicは”Amplify the worlds love for music”(音楽への愛を増幅する)をモットーに歩んでいきます。